~お金をかけずに業績もアップ、一石二鳥の経営術~

4回にわたり、中小企業のための「リスクマネジメント」について、説明させていただいております。今回は3回目です。これまでの記事はこちらをご覧ください。

(1)なぜ、中小企業にも「リスクマネジメント」は必要なのでしょうか?

(2)中小企業のリスクマネジメントにかかわる問題点

(3)これぞ一石二鳥の経営術!事業計画に「リスクマネジメント」を織り込もう

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中小企業向けにリスクマネジメントを構築するため、まず大企業向けに作られたリスクマネジメントのフレームを中小企業向けに簡易化することが考えられます。大企業向けの標準化されたリスクマネジメントのフレームを簡易化するのです。

中小企業の規模や事業内容はさまざまです。各企業の身の丈や状況に応じ、経営者や現場管理職でも管理可能なフレームに作り変えることが必要です。では、具体的にどのようにすればよいのでしょうか。

基本的な考え方は、大企業向けのリスクマネジメントのフレームをカスタマイズして、会社の身の丈にあった「リスクマネジメント」を導入するということです。

また、通常の大企業向けリスクマネジメントでは、事業計画とリスクマネジメントに係る計画とは切り離されていますが、中小企業向けリスクマネジメントには両者を合体させることが考えられます。具体的には以下とおりです。

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事業計画に「リスクマネジメント」を織り込む方法が考えられます。リスクの洗い出しは、事業計画を策定する際におこなう外部・内部の経営環境分析と位置づけることができます。なぜそのようなことができるのか、理由は次回(4)でお話しします。

つぎに、リスク計画と営業計画のPDCAサイクルも同期させます。一度にまとめて管理すれば、テマは省けます。できるだけ重要業績評価指標(KPI:Key Performance Indicator)と重要リスク指標(KRI:Key Risk Indicator)も同一視します。

従来のリスクマネジメントでは、計画の達成度について人事考課に反映させることはあまりなく、掛け声だけに終わり、実行性がありませんでした。しかし、設定した指標の達成度を人事考課に反映させると、計画はより実行性の高いものとなります。

そんなに簡単にできるのかと思われるかもしれません。多くの企業では、事業計画とリスクマネジメントは別々に管理していますが、両者は事業経営においては表裏一体の関係にあります。経営環境の変化への対応という点で本質は同じなのです。

以下の図表では、4月~3月年度の事業計画の策定にあたり、リスクの視点を織り込んでいくプロセスの例を示しています。重点施策のなかにどのようにリスクの視点を織り込めるかがポイントとなります。

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次回では、経営戦略とリスクマネジメントとの関係を深堀してみます。(次回に続く)

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