みんプロには、経営者の皆さまからある相談が増えてきました。

「助成金がもらえると聞いたのですが、本当ですか?」
「百万円単位で返済不要のお金がもらえるらしいのですが・・・」
お話を伺うと、「助成金が獲得できます」という営業活動を受けたようなのです。
最も多いのが、厚生労働省が扱う「キャリアアップ助成金」獲得を勧めるもの。

助成金の制度は、確かに存在します。
その制度で助成金を獲得している企業も、もちろん数多く存在します。
助成金獲得のために適切な支援サービスを提供する良質な事業者も数多く存在します。

ただ、良質な支援サービスを行う事業者の陰で、
不適切・不親切な事業者が見受けられることも事実です。

厚生労働省をはじめ、各都道府県の労働局でも不正防止の強化に努めています。
不正な受給で罰せられるのは、受給を受ける企業です。

厚生労働省
「実態と異なる書類等を作成して助成金を受給しようとすることは犯罪です」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/ryouritsu01/dl/fuseijyukyu.pdf

厚生労働省 東京労働局
「雇用調整助成金・中小企業緊急雇用安定助成金不正受給に係る事業所名等の公表について」
http://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/news_topics/houdou/2014/_120838.html

不適切・不親切な事業者の営業には、よく考えればすぐ気がつく特徴があります。

□「助成金をもらえます。だからもらいましょう!」に終始する。
・・・誰のため、何のための助成金なのでしょう?
目的がない、何に使ってもよい助成金というものはありません。

□助成金取得に必要な手続きや条件が殆ど書かれていない
・・・厚生労働省が公開している情報です。
助成金には目的があります。その目的のために使うことを証明する
計画と実績の提出が必ず求められます。
本当にその目的のために取り組まないと、必要な書類を揃えることは
できません。

□「(当社のサービスを利用すれば)確実に助成金が得られる」とうたう。
−費用は前払い
−「数十万を支払えば数百万の助成金が得られる」とリターンをアピールする
−実際に提供されるサービスが不親切・お粗末
・・・複数の事業者の営業資料を拝見しましたが、
自社で取り組む人材や相応の時間を確保しないと
「確実に助成金を得る」ことはできないレベルのサービスです。
その人件費・労力の費用は提案内容に全く考慮されていません。
そんなサービスに前払いでお金を投じることができますか?

2017年春、世間をにぎわせた森友学園の一連の問題のなかでは、
助成金の不正受給も追及され、学園側は助成金を返済せざるを得なくなりました。
資金獲得だけが目的で助成金を申請し、たとえ獲得できたとしても、
必ずどこかで不正が発覚します。
経営者の皆様が「お金がもらえる」という期待だけで安易な営業に乗る前に、
まずこのブログを読んで、冷静に考え直していただくことを願っています。

「適切な支援サービスを提供する良質な事業者」の特徴とは何でしょう?
先ほどの事業者の裏返し、であることはもちろんなのでですが、
特に強調したいことがあります。

「会社をどうしていきたいのか」を知るためのやり取りから始まることです。
理念やビジョン・方向性・経営戦略・事業計画。
組織によって名前は様々だと思います。
そうしたものの内容を見つめなおし、具体的に考えていくことが大切です。
そうすることで、「助成金が今本当に必要か」を知り、適切に制度を活用して
企業を健全に成長させることができます。