5分で読める『はじめてのユニバーサルデザイン』前編

はじめに

みなさん、ユニバーサルデザインをご存知でしょうか?ユニバーサルデザインという言葉を知っている方は多いかと思いますが、その意味・内容については「バリアフリーのようなもの」くらいのことを思い浮かべる方が多いかと思います。
私は、とある機会に特定非営利活動法人実利用者研究機構が開催している、『ユニバーサルデザインコーディネーター養成講座』の説明会に参加し、ユニバーサルデザインに興味・関心をもつようになりました。現在は「準2級ユニバーサルデザインコーディネーター」を取得しています。今回、この資格取得を通じて学んだユニバーサルデザインの知識を起点として、前編・後編の2回にわたり、ユニバーサルデザインについてご紹介させていただこうと思います。みなさんがユニバーサルデザインに興味をもつキッカケになれば幸いです!

当該コラムの構成は、以下のようになっています。

前編  はじめに  ←今ココです!
    第1章   ユニバーサルデザインの基礎知識
    第2章   ユニバーサルデザインとバリアフリー
    ひとこと                     ←今回はココまで
後編        coming soon

今回は、前編の部分になります。次回の後編も含め、ぜひ、ご覧いただけると幸いです。では、さっそく第1章からはじめさせていただきます。

第1章 ユニバーサルデザインの基礎知識
■ユニバーサルデザインの定義

ユニバーサルデザインの定義としては、ロナルド・メイス氏により「特別な製品や調整なしで、最大限可能な限り、すべての人々に利用しやすい製品、サービス、環境のデザイン」とされています。〔1〕
つまり、ユニバーサルデザインとは、「より多くの方に使い易いデザイン」と表現することができます。

■ユニバーサルデザインの7原則

ユニバーサルデザインには、7つの原則があるといわれています。これも先程のロナルド・メイス氏を中心としたグループにて、以下のように作成されました。〔2〕

1.公平性 : 誰でも同様の方法で利用できること など
2.柔軟性 : 多様な利用者ニーズに対応できること など
3.直感性 : 知識や経験によらず、誰もが利用できること など
4.明確性 : 多言語化や五感の複数を活用すること など
5.安全性 : 危険にならないことや、やり直しができること など
6.合理性 : 身体的に無理なく、楽に利用できること など
7.空間性 : 広さや高さなどが十分であること など

尚、この原則は、すべてを満たす必要があるわけではないといわれています。これらの原則は、調味料と同じように、時には5つ、また時には4つと、食材(対象)に合わせて使い分けることがポイントになります。〔1〕

第2章 ユニバーサルデザインとバリアフリー
■バリアフリーとは

『高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律』を、バリアフリー法と呼称することからもわかるとおり、バリアフリーとは、「高齢者や障がいをもつ方が不便にならないように障害物などを取り除くこと」といえます。〔3〕つまり、「特定の人(高齢者や障がいをもつ方)のためのデザイン」が、バリアフリーといえます。〔1〕ユニバーサルデザインが「より多くの方に使い易いデザイン」であることから、両者を図解すると以下のようになります。

図1‐ユニバーサルデザインとバリアフリーの関係

図1からわかるとおり、ユニバーサルデザインは、バリアフリーを内包したものといえます。〔1〕

■関係をイメージさせるための参考事例

図1の関係性をイメージしやすい商品として、トランプの事例が挙げられます。

図2‐通常のトランプを左利きの人が持つ場合

右利きの方は、あまり気がつかないかもしれませんが、通常のトランプを利用する左利きの方には、ババ抜きなどの際、右利きの方同様の使い方をすると、図2に例示しているように、数字がわからず、非常に使い難いデザインとなっています。同様に、左利き用のデザインになると、今度は右利きの方が使い難くなってしまいます。

図3‐各デザインの違い

そこで、図3の右手側にあるとおり、カードの四隅すべてに英数文字を表示させることで、利腕によらずトランプを楽しめるようになります。図1にある「ユニバーサルデザインがバリアフリーを内包すること」をイメージしやすくなったのではないでしょうか。
(左利き用:バリアフリーをイメージ  利腕によらず使える:ユニバーサルデザインをイメージ)
ただし、本件はあくまで違いを端的にイメージするための紹介であり、「カードの四隅すべてに英数文字が表示されること」だけでは、ユニバーサルデザインである、とはいえません。視認できることが前提となっていることからも、目の不自由な方も楽しめるように改善を図るなど、ユニバーサルデザインになるためには、更なる工夫が必要だといえます。

ひとこと

以上が、はじめてのユニバーサルデザイン 前編となります。いかがだったでしょうか。前編では、ユニバーサルデザインがどんなものなのか、知識や比較、事例を通じて、ある程度イメージいただけるような構成とさせていただきました。ユニバーサルデザインについては、私自身もまだまだ勉強中の身でもあり、伝わり難い点などもあったかもしれません。その点は、どうかご容赦いただけると幸いです。

私は、ユニバーサルデザインを学ぶことは、自分自身の「基本価値の底上げ」に似たことだと捉えています。つまり、何か専門的なスキルが強化されるのではなく、「考え方」「伝え方」「受け止め方」といった基本的な能力が、アップグレードされるようなものだと考えています。ユニバーサルデザインを通じて、より多くの、そしてより多様な人の立場に立った視点・考え方を会得すること、それは「より多くの人にやさしくなれること」なのではないかと思います。
その「より多くの人にやさしくなれること」を、より多くの方に知っていただきたい、その強い気持ちがあって、私では力不足を感じながらも、今回ユニバーサルデザインについて執筆させていただきました。少しでも多くの方が、ユニバーサルデザインに興味をもつキッカケになれば幸いです。

次回、後編も何卒よろしくお願いいたします。
前編を最後までお読みいただきまして、誠にありがとうございました。

≪≪  出典・リンク先  ≫≫

〔1〕「ユニバーサルデザインコーディネーター検定 3級・準2級資格取得講座公式テキスト」を加筆
〔2〕「知ってほしい!!ユニバーサルデザインのこと」を加筆
    https://www.city.adachi.tokyo.jp/toshi/documents/pamphlet-sittehosiiuniversaldesignnokoto.pdf
〔3〕「国土交通省ホームページ」から抜粋
    http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/barrierfree/index.html

≪≪   参 考 文 献   ≫≫

著者:特定非営利活動法人 実利用者研究機構
「ユニバーサルデザインコーディネーター検定 3級・準2級資格取得講座公式テキスト」

◆◇ プロフィール ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
長島 和秀(ながしま かずひで)
中小企業診断士
カラーコーディネーター
準2級ユニバーサルデザインコーディネーター

<< 略歴 >>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
パチンコ業界 : ホールスタッフを経験後、経営企画にて業績管理やBSCの運用、
         その他、経理やマーケティングなどを経験する。
建設業界   : 経営企画にて業績管理や組織活性化、
         管理部にて人事・総務、情報システムなどを経験する。
広告業界   : 現在、経営企画にてISMSやPMSの取得、システム導入などに携わる。
<< 所属 >>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
一般社団法人東京都中小企業診断士協会中央支部 正会員・青年部員
一般社団法人神奈川県中小企業診断協会     正会員
一般社団法人埼玉県中小企業診断協会      正会員
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