中小企業診断士の休止制度と再開に向けての取り組み(私の場合)

1. はじめに

私は現在中小企業診断士資格休止中で再開を目指す、みんプロ塾の塾生です。
資格再開について調べると、資格所有者のうち休止者が約20%程度(2018年時点)存在し、増加傾向であることが読み取れます(図表1-1参照)。この傾向から、私のような資格失効まで短期間の方が一定数いると想定されるため、中小企業診断士の業務休止制度と、業務再開に向けての私の活動を書かせていただきました。私の取り組みが資格再開を考えている方の参考になれば幸いです。

 

図表1-1資格休止者数と構成比(年度別)

出典:統計情報からみる中小企業診断士の課題(日本経営診断学会論集(WEB))

 

2.中小企業診断士休止、再開、初回更新について

私の資格再開への取り組みを書く前に、中小企業診断士資格休止から再開そして初回更新までについて説明します。

(1)制度の概要
中小企業診断士の資格は、5年ごとに登録更新を行う必要がありますが、休止制度を利用することで資格更新手続きを一時中断できます。

(2)制度の利用の流れ
4年6か月目で休止した人の例をもとに、制度の流れを説明します(図表2-1参照)。

1)休止に必要な書類は①中小企業の経営診断業務休止申請書②中小企業診断士登録証(原本)です。①、②を用意して中小企業庁に送ります。休止書類が受理されると「中小企業の経営診断の業務再開の申請可能証書」が自宅住所宛に送付されます。
この証書は、業務再開申請可能期限と再開から次の資格更新までの「残有効期間」が記されています。この書類は再開手続きに必要です。休止期間は最大15年で、書類を紛失しやすいため置き場所を忘れないように注意します。休止期間中に再開する場合は、証書に記載の期限までに再開申請することができます。

2)業務再開には申請日の前3年以内において以下要件を満たすことが必要です。
✓理論政策更新研修等を5回以上修了すること
✓実務または、実務補習等に15日以上従事または受講すること
このように最長でも3年間と限られた期間の中で要件を満たす必要があるため、再開に向けては計画を立てることをおすすめします。思った以上に厳しい条件だと思います。

3)2)により業務再開をすることができます。業務再開後は更新期間の残りで初回更新をします。このケースですと、4年6か月で休止していますので、残りは6か月です。この期間で実務要件15日以上をみたすことが必要です。
業務再開をすればその後、5年間で初回更新すればいいという訳ではありませんので注意しましょう。私はこれを思い違いしてしまい、大変なことになっています。残りが1か月以内でしたので、業務再開と初回更新を同時に行わなければいけなかったのです。

図表2-1 資格休止→再開→初回更新の流れ

中小企業庁ホームページを参考に筆者作成
https://www.chusho.meti.go.jp/shindanshi/shindanshitetuduki04_06.htm#kyuuhi

 

3. 中小企業診断士休止再開に向けての取り組み(私の場合)

(1)専門知識補充要件(理論更新研修ポイント)取得に向けての取り組み
資格再開を決めた時、通常は3年間の猶予がありますが、私は約1年半しか残されておらず通常より短い状況でした。限られた期間の中で、理論更新研修5回と実務従事15日間の消化が必要となります。
そのため、理論更新研修は効率的に受講する工夫をしました。具体的には①中小企業診断協会開催のものと塚商会開催のものを併用すること、②リモートで受講できるものを優先すること、です。限られた期間で効率的に理論更新研修を受ける工夫をすることで、再開申請可能期限までに必要なポイントを取得することができました

(2)実務従事ポイント取得に向けての取り組み
再開に必要な15ポイントを取得するため、私は東京都中小企業診断協会に相談しました。協会の方からは実務従事参加募集案件に参加するようアドバイスを受け、2社の総合診断業務に取り組みました。
診断業務に取り組む中で、診断報告書の作成に必要なスキルが不足していることを痛感しました。この課題を解決するためにみんプロ塾に入塾しました。各種スキルを身につけて報告書を書くことができれば、定年後のことも考えられると思いました。
初回の塾の懇親会で、資格再開について認識が異なる可能性があることを同期の塾生に指摘されました。その後、中小企業庁のホームページで確認したところ、私の場合は業務再開に必要な15ポイントと、初回更新に必要な15ポイントを合わせ、30ポイントを期限内に取得しないといけないことがわかりました。
現時点で取得したポイントは12ポイントなので残り18ポイントです。「これを残り6か月強で取得しないといけない・・・」と絶望的な気持ちになりました。気を取り直して中小企業診断協会主催の総合診断業務に1社応募し6ポイント取得しました。これで合計18ポイントとなり、更新に必要なのは12ポイントです。そこでみんプロの先輩に相談し、みんプロ実務従事コースに参加することなどで、初回更新に必要なポイントも取得し、再開することができました。

4.最後に

(1)中小企業診断士を休止しその期間が長い場合、いつ休止申請したか忘れてしまうので、まずそれを確認して登録の残り期間を確認することが大切です。
(2)残り期間が1か月以内の場合は、再開と同時に初回の更新が必要ということを忘れないようにしないといけません。※私は全く気づきませんでした。
(3)再開しようと思った理由は、資格再開のために実務従事し、理論更新研修で知識を得ることが学び直しとなり自分の能力向上のためになると考えたからです。能力が向上したら、勤務先を定年退職したあとに再就職する時の自分の強みにしたいです。
(4)みんプロの八木先生、諸先輩に大変お世話になりました。みんプロ塾に入塾できて私はとても幸運でした。上記に書いた私のような状況に陥った方は是非みんプロ塾にご相談ください。必ずいい方向に導いてくれると思います。