企業経営は、どの選択肢を取るのかを決断することの繰り返しです。もちろん、中小企業診断士も然りです。その決断の参考になるエピソードをお話したいと思います。

1. いざ甲子園へ

 今年の夏の甲子園は、慶應義塾高校の107年ぶりの優勝で盛り上がりました。実は、私の母校も出場しており、3回戦を観戦しに甲子園に行くことにしました。
 試合は8月15日。しかし台風7号の襲来により、予定通り開催されるかは不明でした。甲子園のチケットは、原則、日付指定。したがって、15日のチケットが16日に繰り越されるのではなく、15日が中止になったら15日のチケットは払い戻しされ、16日に入場するためには16日のチケットが新たに必要という仕組みになっています。
 そこで私は、台風で延期を想定して、迷わず両日のチケットを買いました。理由は次のとおりです。

  1. チケット取得時点では、15日の試合は中止の可能性が高く、中止になった場合、その分は払い戻しされること。
  2. 今年の甲子園のチケットは直前では売り切れている可能性が高いため、15日の中止に備え、16日のチケットを事前に入手しておくことが望ましいと考えたため。
  3. 15日の試合が中止にならなかった場合、16日分のチケットは捨てることになるものの、外野席は700円であり、取りうるリスクだと思ったため。

 結局、15日の試合は中止となり、正解だったと思います。

2.交通手段の選択(往路)

 往路の交通機関をどうするかを迷いましたが、日程が確定してからチケットの予約しようと思いました。14日のお昼になって、15日の試合の中止が決定しました。その瞬間、航空会社のホームページを検索しました。ラッキーなことに、試合時間に間に合うフライトで、1席だけ1万円台のチケットが残っており、即座にゲットしました。
 ここで、新幹線ではなく飛行機を選択した理由をご紹介します。

  1. 東京と大阪以外の天候に左右されず飛べること。つまり、新幹線なら静岡あたりで不通となったとしても、飛行機なら問題ないこと。
  2. 試合は15時45分からのため、万一、飛行機が欠航した場合、当日、新幹線の自由席でもよいと思ったこと。
  3. 新幹線が運休となった場合、飛行機に振り替えることは困難であること。
  4. 大阪空港(伊丹)から甲子園は、距離的に近く、万一の交通機関の混乱の場合でも、空港からタクシーでアクセスしやすいこと。

 そして、試合当日の8月16日。羽田空港で新幹線が運休となったことを知り、大正解だと思いました。後で、我が母校のブラスバンドは新幹線で移動していて、試合終了までに到着できなかったと知り複雑な気持ちになりました。

晴天の羽田空港と搭乗予定の旅客機
ブラスバンドのいないアルプススタンド

3.交通手段の選択(復路)

 さて、復路。帰りの時間は試合終了時刻が予想できず、当日中に帰れない可能性もあると思ったため、予約はしていませんでした。
 とりあえず、現場に行かねば様子はわからないと思い、新大阪駅に向かいました。案の定、新幹線は大混乱。ただし、遅れながらも動いているようでしたので、帰宅を試みることにしました。改札に入るまで30分程かかってしまいましたが、お弁当とお土産を買いこみ、ホームへ。「乗れるのか」という不安の中で、こだま号が入線。躊躇ない判断で、乗り込みました。
 こだま号に乗った理由、実は奥深いのです。以下のとおりですが、端的に言えば、時間を無駄にしないと思ったからです。

  1. たまたま入線したこだま号は席が十分あることを確認できたこと。時間はかかっても、混雑している車内で過ごすより、快適に過ごした方が楽かと思いました。
  2. PCやiPad、スマホ、そしてそれぞれの充電器も全てあり、さらには勉強道具も持っていたので、時間を無駄にすることはないと思ったこと。
  3. 品川からそれほど遠くないところに居住しており、終電後に到着しても、アクセスは何とかなると思ったこと。
  4. こだま号は各駅停車のため、駅間で立ち往生する可能性が低いこと。万一ストップしても、駅に停車中であれば、ホームに出てリフレッシュもできます。実際、浜松で30分以上停まりましたがホームに出ることもできました。また、いざというときはホテルや飲食店などといった逃げ道も確保できます。

 結局、実質乗車時間は、通常の30分プラス程度で、品川に到着できました。

終電後に到着した新幹線深夜(品川駅)

4.情報整理と決断

 今回のブログでは、甲子園行きの道中を題材にして、どのように情報を整理し判断したかをご紹介しました。
 経営においては、環境に応じて瞬時に判断しなければならない局面が多々あります。そのためには、日々、アンテナを張って情報収集し、その情報を整理し、行動につなげていくことが大切と思います。
 日々是決断。日常生活から判断する訓練をしていると、経営にも役に立つと思いますし、充実した日々が送れると思います。意識して最善の判断を考える習慣をつけるとよいと思います。

中小企業診断士 田口正樹